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九州地方環境事務所

アクティブ・レンジャー日記

九州地区のアクティブ・レンジャーが、日々の活動や地域の魅力を発信します。
アクティブ・レンジャーとは、自然保護官の補佐役として、国立公園等のパトロール、調査、利用者指導、自然解説などの業務を担う環境省の職員です。管内には、瀬戸内海、西海、雲仙天草、阿蘇くじゅう、霧島錦江湾、屋久島、慶良間諸島、西表石垣国立公園、やんばる国立公園があります。

ツルの羽数調査とベッコウトンボの幼虫調査

2025年12月09日
出水 平野 菜々子
こんにちは、出水自然保護官事務所の平野です。
先日、地元の学校によるツルの羽数調査が行われました。
そして同日にベッコウトンボの幼虫調査があったので見学させてもらいました。
今回はその2つを紹介します。

ツルの羽数調査

毎年ツルが飛来する11月から翌年1月の間に4回ほど、
地元の中学校の「ツルクラブ」の生徒が中心となり計測します。
荒崎地区と東干拓地区に1か所ずつある人口ねぐらから、日の出とともに飛び立つツルの習性を利用した計測方法です。
調査の前日18時から通行止めを行い、車のライトや走行音でツルが驚いて飛び立つのを防ぎます。

早朝、日の出前からねぐらの近くでツルが飛び立つのを待ちます。とても寒いのですがツルクラブの生徒さんたちは忍耐力があります!
日が昇る瞬間にぐっと気温が下がるのがとても不思議でした。

インジケーター

出水自然保護官事務所は計測と交通誘導を行いました。
わたしは今回初めてインジケーター(数取器)を使い計測をしたのですが、
双眼鏡を覗きすぎて途中で酔ってしまい、ねぐらから飛び立つツルを最後まで数えることができませんでした・・・。

慣れた方は「目視で判断して、分からないものだけ双眼鏡で判断する」というやり方らしく、初心者には真似できないなと思いました。(羽ばたき方が微妙に違うそうです)
最後に、ねぐらに残ったツルを数えて計測は終了です。全員の数を照合して発表となります。
ツル観察センターにてホワイトボードで結果が発表されます。
飛び立つツルを数えきれず悔しい結果ではありましたが、全体を通してとても良い経験になりました。
今年度の羽数調査はあと2回あるので、修行を積んで挑みたいと思います!

羽数調査の結果はこちら(クレインパークいずみHP)

ベッコウトンボの幼虫調査

着任後初めて、ベッコウトンボを保護する会のお知らせが入ったので見学させてもらうため、鹿児島県薩摩川内市にある藺牟田池に行ってきました。
絶滅危惧種に指定されているベッコウトンボの数少ない生息地です。
ベッコウトンボはベッコウ色の羽が特徴で最も原始的なトンボと考えられているそうです。

水槽(トロ船)に土とマコモというイネ科の多年草を入れて自然に近い形でヤゴを保護・調査しています。
平成21年に池の渇水があり、自然災害から守るためにも安定した環境で保護しています。
水の補給がしやすく、移動も可能です。
全体の様子
水槽の泥の中から網やザルを使ってヤゴを探すのは根気のいる作業です。
特に今年は放流した数よりだいぶ減っていて、なかなか見つけられませんでした。
ヤゴは共食いもするそうです。

ですが例年より個体が大きいらしく、広くなった水槽の中でのびのび成長しているのだろうと思いました。
無事に羽化してほしいです。
ヤゴたち   ヤゴ

藺牟田池の周り

最後に藺牟田池について紹介します。
藺牟田池に着いて最初に目に入るのは生態系保存資料館アクアイムです。
小さな水族館になっていて藺牟田池に住んでいる生き物を見ることができます。
2階は藺牟田池の成り立ちなどを学べる展示と藺牟田池を一望できるバルコニーがあります。
バルコニーから
横の売店では白鳥のエサを売っているので、白鳥やカモにエサやりができます。
いつも野鳥の巡視で飛ばさないように気を付けているカモを間近で見ることができて、謎の感動がありました。
コブハクチョウとヒドリガモ
カモたち
紅葉は終わりかけでしたが歩道の周りの植物がきれいでした。
気候も丁度よく、散歩やジョギングしている方が多かったです。
本当は歩いて一周できる歩道なのですが、現在は令和6年の大雨による土砂崩れで一部立ち入り禁止になっています。

紅葉1   紅葉2
つわぶき   コブハクチョウ+α
他にもキャンプ場やレンタサイクル、貸しボートとアクティビティが多くあります。
春と秋の行楽シーズンはもちろんおすすめですが、ベッコウトンボは4月下旬から6月が見頃です。
自然豊かな藺牟田池で癒されてみませんか?